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Thule Magazine vol.4
リーマントラベラー東松 寛文Hirofumi Tomatsu

1987年、岐阜県生まれ。神戸大学卒業後、広告会社に就職。会社員として勤務を続けながら、週末などを使い、世界中を旅している自称「リーマントラベラー」。2016年に世界一周を達成してから、テレビや新聞、ラジオ、雑誌などのメディアに多数出演し、全国各地で講演もしている。著書に『サラリーマン2.0 週末だけで世界一周』(河出書房新社)、『休み方改革』(徳間書店)。朝日新聞社が運営するオンラインサロン「リーマントラベラーサロン」も主宰し、旅好きな人たちと交流も行っている。

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多様な生き方の
一つの選択肢に
なりたい

旅の始まりはNBAから

リーマントラベラーという仕事について

-平日は広告代理店で正社員として働きながら、金曜日の夜に空港へ向かい、土曜日の朝を海外で迎え、土日を海外で過ごし、日曜日の夜に現地を出発。月曜日にそのまま会社に出社するというのが基本的な旅のスタイルです。その旅で得た情報について文章を書いたり、世界で見てきたことを幅広く伝えるYouTubeなどをやっています。

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最初に旅に行こうと思ったきっかけは?

-そもそも旅に全く興味がなかったんです。社会人3年目のときにNBAを現地で観戦しようとGWに1日だけ有休を追加してアメリカのロサンゼルスに行ったんです。
それまでは「大人たるもの平日は朝から晩まで会社で働いて、家に帰って仕事のために休息をし、週末すら会社のために過ごす」ということが当然で、疑問にも思わなかったのですが、アメリカに行って衝撃を受けました。平日の昼間からバスケを観にきているファンがたくさんいて、他にもビーチでお酒を飲んでいたり、音楽を聴いたりしている。平日なのに人生を楽しんでいる大人がたくさんいるということに気づいたんです。短い休みでも、英語が話せなくても、こんなにも知らなかった気づきがたくさんある。だったら会社に断りが必要のない範囲でもっと行ってみようと思って、それから旅にどんどんハマっていきました。気づいたら2013年からこれまでに70カ国、159都市をまわっていました。

サラリーマンの経験があったからこそ決めた道

2016年に発信をしようと思ったきっかけは

-僕は旅に行くことでいろんな生き方の選択肢を知ることができたけど、周りには「サラリーマンしか選択肢がない」と思って悩んでる方々がいる。僕自身、日本にだけいたらこんなことも思わずにサラリーマン一筋でずっと生きていたんです。旅によって選択肢が広がったことで「これって伝えた方がいいことなんじゃないか?」と考えられました。自分が社会人になってから限界ギリギリまで働いて、そのあとに旅という選択肢に気づいたからこそみんなの気持ちもわかるような気がして。サラリーマンしか選択肢がないと思って悩んでいる方々に対して実はいろいろな選択肢が広がるよってことを伝えようと思ったことがきっかけでリーマントラベラーとしての発信を始めました。

始めるにあたって迷いなどはありましたか

-社会のレールからはみ出ることが怖かったです。なので、リーマントラベラーの企画書を作って1ヶ月の間に120人に相談したんです。120人に相談して分かったことは「正解は誰にもわからないからやるしかない」ということでした。120人に相談しても不安は無くならなかったんです。不安を通り越すぐらいのワクワクを感じていたので、これはもうやるしかないなと。
活動を始めた2016年の10月から12月には「サラリーマンは世界一周できない」という固定観念を壊そうと「日本にいるときはトランジット期間」と考え、週末だけで世界一周に挑戦しました。3ヶ月の間に計5大陸18か国、海外旅行に12回行き世界一周を達成しました。そこからいろいろなメディアに取り上げていただいて、雑誌での連載が始まり、本の出版にもつながっていきました。

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発信を始めてから一番思い出深い出来事はありますか

-本を出版できたときが何より嬉しかったですね。この世に何かを残したいなと思った出来事がきっかけで小さいときから本を出したいと思っていたんですが、普通のサラリーマンが本を出すって難しいじゃないですか。出したとしても仕事の本になりますし、それは違うなと思って社会人になってから一度その夢を忘れたんです。
ですが、その夢がリーマントラベラーを始めて2年で叶ったんです。それはリーマントラベラーをスタートしたときに「本を出す」と宣言したから。言えば夢は叶うということを感じたきっかけでもありました。

リーマントラベラーの強みについてお聞きしたいです

-「サラリーマンを辞めていない」ことではないかと思っています。そこに共感していただいてる気がしています。サラリーマンを辞めずに何かを始めること、続けることについて相談をしてくれる方が多くて、本人にとってとても満足できる道を見つけたと報告をいただいたときはすごい嬉しいです。こんな喜びを感じさせてもらえるとは思わずに発信をしていたことで、見ている方の人生に良い影響を与えられているなんてとても幸運ですよね。

すべてにつながる旅と仕事の関係性

東松さんが感じる旅の魅力とはなんですか

-知らない自分に出会えることです。とにかく自分で行って自分で見て自分で感じたい。行った先で自分がどう感じるのかを知りたいんです。単純に見たらコスパが悪く見えると思うのですが、旅行にかけるお金以上に得ているものがたくさんあると感じています。ある意味、もとが取れるからこそ行っちゃうんですよね。

旅先で何か選択した瞬間をすべて写真に収め、帰りの飛行機で振り返るとお聞きしました

-旅って非日常な体験なので日常よりも自分の好き嫌いがはっきりわかるんです。例えば旅先で道をどっちに行くか悩んだときも、どういう選択をしたか理由がある。選択したいろんな瞬間を振り返ると、自分が得意なこと不得意なこと、好きなこと嫌いなことがわかって、それがまた仕事に活きるんです。仕事のときに得意なことはたくさんやった方がいいし、不得意のことは極力やらないようにするにはどうしたらいいか考えればいい。そうすると結果的に仕事の生産性もチームのパフォーマンスも上がりますよね。そしてそれが自分の評価にもつながってくる。結果的に旅行にかけるお金以上に得るものがあるので、どんどん旅に行く理由ができていくんです。

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発信については何か工夫はありますか

-海外旅行に言って欲しいと思っているわけではなく、いろんな生き方の選択肢があることを伝えたいなと思って発信をしているので、真面目な発信はしていません。基本的にSNSは誰でもアクセスできるがゆえに気軽に見て欲しいなと思っていて、楽しい発信しかしていないんです。本やイベント、オンラインサロンの中では「会社を辞めなくてもいいし、仕事で辛いことがあってもこれだけプライベートを楽しめば人生って豊かになるよ」ということを伝えています。例えば仕事で調子が悪くても「趣味を頑張ろう!」ってなるんですよね。そうやって心の中の割合を少しずらすことで人生にもいい影響があるんじゃないかなと思っています。

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身近なところにあった発見の喜び

新型コロナウイルスが流行してから気づいた旅の魅力はありますか

-予想以上に仕事と旅が支え合っていたなと思いましたね。これまでは旅から帰ってきたらまた次の旅先が決まっていて、言わばご褒美が待っていた。そうすると仕事も頑張れるわけです。それが永遠に続くものだと思っていたんですが、それがぱっと無くなってしまった瞬間に「やばい。心を回復させる手段がない」と。こんなに旅がない人生が辛いんだと感じました。

どうやって回復したのでしょうか

-2月に「パラサイト 半地下の家族」という韓国映画の聖地巡礼をしたときに、隣の国なのにこんなに知らないことがあるんだと知ったことがきっかけで、3月以降、韓国ドラマを20作品以上、韓国映画も30作品くらい見ました。今までは韓国って近いので知らないことを知るという感覚があまりなかったのですが、「パラサイト 半地下の家族」は日本にいながら韓国にこんな知らない世界があると教えてくれる作品だったんです。映像作品でもエンタメコンテンツでも海外旅行に行ったときの「知らないことを知る」体験が味わえる。こんな体験ができるなら最高だなと韓国の作品にハマっているうちに回復していました。

好奇心は昔から強かった?

-かなり強いと思います。軽い潔癖症なのですが、潔癖症を超えるものが唯一好奇心なんです。好奇心があるうちはマリオのスターをとってるような感じで無敵でどこでも行けるんです。とにかく知らないところに行きたいので、地球を見尽くしたら、最終的には宇宙に行きたいと思ってます。まずは地球上にまだ知らないことがたくさんあるので、日本も世界ももっと回って見ていきたいですね。

THULEによって広がった旅の楽しみ

これまでの旅のスタイルは

-やはり国を回るときは移動が多いので、機内で持ち込める最大サイズのバックパック一個で旅をしていました。

人生で初のキャリーケースとしてTHULEを使っていただいたとのことですが

-これまでは最小限に厳選した荷物を鞄に詰め込んで行っていたので、現地で買い物するとなると何かを捨てなきゃいけなかったんです。買い物ができるようにとTHULEのキャリーケースを使うようになりました。コロナ期間中に料理も始めたので、海外の調味料やスパイスを買ったりもしたいです。THULEのキャリーケースは頑丈で壊れ物も安心して入れられますし、移動もスムーズなので使いやすくて助かります。THULEのキャリーケースを手に入れてから、ただ楽しんで終わるだけじゃなく人生を豊かにするようなものを詰め込むスペースがある嬉しさがあります。

他にはどういったものをお使いいただいてますか

-Crossoverシリーズのオーガナイザーはカメラのポータブル充電ケースやカメラのバッテリー、メモリーを整理するのにとてもちょうどいいサイズで助かっています。ケーブル類も入れられるし、メモリーも全てがちょうどすっぽり収まるサイズなんです。バッグに求めるものは「ジャストサイズ」なんですが、いつも最小限しか荷物を持って行かない中でこのシリーズはとにかくおすすめです。
2WAYで使えるSubterraシリーズのキャリーオンバッグはPCケースも初めから付属で付いているのがかなり良かったです。例えば、ホテルのカフェで少し仕事をしようとPCだけを持って出かけるときに、バックパックだと大きすぎるのでこのPCケースがかなり重宝します。付属のケースを取り外した後にストラップを付ければ肩にかけて使えるところもとても便利です。

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リスクをとらずとも叶えられる夢を応援する

今後の目標を教えていただきたいです

-いろんな生き方がある時代の中で、自分自身が一つの選択肢になりたいなと思っています。サラリーマンをしながらでも自分の夢を叶えたりとか、好きなことにチャレンジすること。それって別にリスクをとってやる必要があることではないし、僕の生き様が誰かの人生に良い影響を与えるような人間になれたら嬉しいなと思います。僕は好きなことを発信する時の熱量が尋常じゃなく上がっちゃうんで、それは得意なことなんだなとYouTubeを通じて気づきました。これからも好きなことをとことん突き詰めて発信して行きたいです。